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【GCT】Vol.24 2019年度国際ボランティアinタイ参加者報告書

国際ボランティアinタイとは

バンコクYMCAと横浜YMCAの協働で行なわれ、2019年度で26回目となる。

山岳民族の村でのホームステイ、農作業などのボランティア、パヤオセンターの子どもたちとの交流を通じてタイの文化や社会問題などを学ぶ地球市民育成プログラム。

 

YMCAパヤオセンターとは

タイ北部パヤオ県にある児童保護シェルター。人身売買の危険から児童を保護し、生活の自立、教育の機会を得る場所として地域のHIV感染者やエイズ孤児への理解を促すプログラムなども実施している。児童が作るパヤオクラフトは横浜YMCAの受付やイベントなどで購入可能。

山岳民族における人身売買の問題

武樋 駿

私は「国際ボランティア in タイ」に参加して沢山のことを学びました。私はパヤオセンターという、人身売買の被害に遭いそうになった子どもたちを守る施設に行きました。一番衝撃的だったことは、未だに人身売買が行われているということです。日本ではあまり触れることのない話題だったので、とても驚きました。センターの子どもたち全員が山岳民族出身であることを知り、山岳民族の人身売買の被害への危険性について興味を持ちました。

 

タイの北部には多くの山岳民族が暮らしています。主な民族は、アカ族、カレン族、モン族、ヤオ族、ラフ族、リス族です。山岳民族はタイだけでなく、ミャンマー・ラオス・中国雲南省などの山岳地帯にも住んでいます。山岳民族は独自の文化や言語を形成しており、主に農業による生活をしています。現在、科学技術の進展により、山岳民族の村にもスマートフォンなどが徐々に浸透し始めています。それらのテクノロジーによって、少しずつ村の伝統的な文化や景観などを維持することが難しくなってきています。私が訪れたときには、スマートフォンを持っている村の人も散見され、また伝統的な竹の家から現代建築風の家までありました。

 

そして山岳民族が抱えている一番の大きな問題が、人身売買の問題です。山岳民族が暮らしている地域では、農業によって生計を建てることはとても難しいことです。それらの地域では雨量が少なく、農業に適さない土地が多いです。そもそも山岳民族の土地でないことも多々あります。タイの山岳部では、一部が国立公園になっていたり、また保有林になっていたりと、国の所有物になっていることが多いのです。私が実際に行った村も、砂地で、保有林となっており、国からその土地を借りるという形で、農業を行っていました。そのため、農業だけでは十分なお金を稼ぐことができず、貧しい世帯が多く、生活の質の向上のために、娘を売ってしまうという事例が多発しています。私は人身売買は最低限生きていくためのお金がない人が、仕方なく行うものだと思っていました。しかし山岳民族は基本自給自足の生活のため、暮らしていくことは可能です。それにも関わらず、例えばスマートフォンやギターが欲しい、旅行がしたいなどといった理由で、人身売買が行われてしまっているというのは意外でした。

 

特に女性が被害に遭う確率が高いです。男性は村で働き手として需要があり、女性は働き手にならないため、風俗店へ売られてしまうことが多いからです。売られてしまった女性は、家に帰りたくなっても、親族によって売られてしまったため、家に戻ることができず、誰かからの助けがあるまで、ずっと店で働き続けることになってしまうという問題があります。このような問題が起きてしまうのにはある大きな理由があります。それは風俗での収入が、一般職に比べて遥かに高いということです。この収入は親の収入の 10 倍以上になることもあります。タイ政府には少しずつ規制を強化して、この差を埋めていきたいという考えがあるのですが、観光業としてバンコクなどの大都市にある風俗店は人気であり、経済活動の一定割合を占めているため、取り締まることが難しいのが現状です。

 

人身売買はどうやったらなくすことができるのでしょうか。まずはタイ国内で、人身売買についての教育をしていくこと、そして事件が起きた場合にはメディアがしっかりとそのことについて情報を発信していくことが重要だと思います。パヤオセンターでは、人身売買や HIV などについての子どもたちへの教育、また周辺の地域での啓発活動にも積極的に取り組んでいるそうです。タイ国内でも、少しずつ人身売買についての教育は進んでいますが、中々被害が減らないという現状があります。私はこのような悲惨な被害をなくしていってほしいと心から思いました。

 

パヤオセンターに、私は 7 日間滞在しました。センターでの生活を通して、子ども達から多くのことを感じ、学びました。それぞれの子どもが悲しい過去を持っているのにも関わらず、そんなことを感じさせないほど、彼らはよく笑い、笑顔が絶えませんでした。私が困っていたりすると、すぐに笑顔で近づいてきて声をかけてくれるなど、自然に周りに気配りをしています。そして、彼らは普通の子どもなのに、周りの環境のせいで、人身売買の被害に遭いそうだったという事実は、とてもショックで、人身売買は絶対になくなるべきだと思いました。また将来そういった子ども達のために少しでも役に立ちたいと思うようになりました。今はどのような形で関わることができるのか模索中です。私は絶対にパヤオセンターにまた行きたいと思います。

 

 最後に、横浜、バンコク YMCA のスタッフの方々、パヤオセンターの子どもたち、ホームステイを受け入れてくださった山岳民族の方々、沢山の貴重な体験を本当にありがとうございました!

タイの文化と人身売買について

澤村 幹太

 

私は、学校からこのプログラムのお知らせが来たときに、タイの文化はどのようなものなのかということを知りたいと思って参加した。もちろん、このプログラム内でタイの寺院や市場などに行 って、タイの文化を体験することはできた。しかし、今回の研修のメインは人身取引や山岳民族に ついてである。日本にいるだけでは、知ることができないようなことをたくさん知ることができた。 

 

その前に、今回滞在したバンコク YMCA パヤオセンターについてはじめに簡単に触れたいと思う。この施設は人身売買(人身取引)に遭うリスクが高かったり、十分な教育が受けられていないような子どもたちを保護し、衣食住や教育の支援をしている施設である。7 歳から 18 歳まで 33 人 がそのセンターで暮らしていてほとんどが山岳地帯の村の出身である。どのような取り組みをしているかはまたのちほど説明する。 

 

さて、それでは人身売買についてである。日本にいる中でも多少は耳にする機会もあるとは思う。 ただ、実態がどのようなものなのかは知らない人がほとんどだと思う。もちろん私たちが経験したわけではないが、それについての活動をしているパヤオセンターの職員の話を聞いて人身売買について知ることができた。まず、人身売買とは不正な利益を得るために弱い立場にある人(主に子どもや女性)を輸送したり、奴隷化することであり、強制労働や物乞い、臓器売買、強制売春など主に七つに分けられる。それの原因としては貧困や借金による金欲や、教育の機会に恵まれなくて騙されるといったものがある。また、家族や親戚が売春の経験がある場合、そのようなことに巻き込まれる可能性がある。センターでは警察や政府、教育機関や現地 NGO などと協力して一緒に対策を行っているという。被害にあった場合、被害者の社会復帰の選択肢もあり、その場合は本人とも相談しながら実家に帰るか別の場所に移るかを判断するという。特に子どもの場合はそこに代わりの家族を探すという選択肢も加わるが、児童施設で預かるのは一番最後であるようだ。また、社会に出ても困らないよう様々なことを経験させていてその中には刺繍(パヤオクラフト作り)もあった。また、人身売買についての勉強会をしていて、日本が受け入れ国であるという事実に驚いた。 

 

日本にいるだけでは人身売買は無関係だと思っていたが、立派な当事者なのである。さらに、これはセンター滞在を通じて感じたものだが、センターの子どもたちは人身売買に遭いかけたり、親が亡くなったりとつらい経験をしているのにも関わらず、僕らと活動しているときはいつも楽しそうにしていた。言い方は少し悪いかもしれないがそのような経験をしているのでもう少し暗いのかなと行く前は思っていたが、全くそんなことはなかった。 

 

では、次にタイの文化についてである。当たり前ではあるが、タイは日本とは違う様々な文化を持っている。例えば、日本では誕生日の人がプレゼントを他の人(家族とか)からもらうのが一般的だと思う。しかし、タイでは祝われる人がプレゼントを用意して、身の回りの人に配るという習慣がほとんどらしい。また、学校では生徒は靴下、または裸足で先生のみ土足で授業をするようだ。これは先生に対する敬意を示すものらしい。さらに、ご存知かも知れないがタイではいたるところで国王の写真が飾られていた。タイでは、皇室に関する信仰がとても厚く、不敬罪が法律で定められているほどである。また、公立の学校では毎朝朝礼として国旗掲揚と国歌斉唱をするそうだ。 

 

この活動を通して体験したものは、日本ではあまり体験したり、聞く機会がないようなことなので少し驚いたとともに、それを知ることができてものすごく貴重な体験だったと書いている今改めて実感した。特に人身売買については今後はそれを色んな人達に伝え、その現状を知ってもらい、僕ら自身も何かしらの形で彼らの支援をしたいと思う。 

↓パヤオクラフト紹介動画↓

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